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ZL1WY / ZL7  Chatham Islands


風の島 チャタム島 その4

ZL1WY 三宅 広幸

 定刻を1時間遅れて搭乗の始まった、Air Chathmaに乗り込んだ人は20人程度。
多くは地元の人の様で、それぞれが顔見知りの雰囲気でした。
私が乗り込んだのは一番最後で、当然座席が指定なのだから問題はないと思っていたのに、いざ乗ってみたらびっくり。
キャビン前方には何と4人がけの座席があって、造りはまさに電車のそれと同じです。
ただ違うのは、それぞれにシートベルトがあって、向かい合わせの真ん中に折り畳み式の長いテーブルが据えつけられている事でした。
そして、入り口に最も近い、しかも後ろ向きの席だけが空いているのです。
客室乗務員とおぼしき年輩の女性が、案の定、私に向かってそこに座るように指示をしました。
最も目立つ席で、しかも後ろ向き、乗客の視線がイヤでも私に注がれるのは仕方のない事ですね。
ドアが閉められ、飛行機はゆっくりと滑走路へ進みます。
プロペラの低いうなりが大きくなったと思った直後、飛行機は滑走を始めてあっと云う間に舞い上がりました。
生まれてこの方、ボックスシートで、しかも後ろ向きで離陸したのは今回が初めてでした。

約2時間のフライトの後、飛行機はゆっくり旋回しながらChathamに向かって降りて行きます。
天候は曇り、機体がかなり振られるので風が強いのではないかと思っていたら、着陸時に大きくバウンドして一瞬ヒヤっとしました。
現地時間16:40(02:55Z)、ついに念願のChathamに到着しました。
まわりは見渡す限り荒涼とした荒れ地で、海が身近に見えています。
後で分かった事ですが、これは海は海でも環礁であって、外洋ではなかったのです。
そして、タラップから降り立つととにかく猛烈な風が吹き付けていて、帽子はとてもかぶっていられません。
これは凄まじい....Chathamの第一印象でした。



Chatham空港の周りは、360度こんな感じ

 粗末な空港の建物の脇に、20人程度の人々が固まっていました。
その中に、これからの数日間を過ごすHotel ChathamのMr. Valが、私をピックアップに来てくれているはずでした。
彼のホームページで顔を見ていたので、すぐに彼を見つける事ができて、まずは堅い握手から。
早速、彼の車でホテルへ向かうけれど、その車がまたすごいのです。
さほどは古くないフォードの大型ワゴン車なのに、フロントガラスの3分の1はクモの巣状のひびが入っていて、タイヤもツルツルの坊主状態。
これで砂利道のまるでラリーコースを、時速100km以上でぶっとばすのですからヒヤヒヤものです。
空港から約20分、人家の集まった真ん中に、Hotel Chathamはありました。
 このホテルは小さな内湾の付け根にあって、小さいけれどきれいなホテルでありました。
しかし、無線だけで考えると鍋底の様な場所なので、6mに重きを置いた運用を考えていた私は、彼の経営するもうひとつのゲストルームに宿泊する事に決定したのです。
これは彼の自宅に隣接した部屋で、イギリス風の庭を持った素敵な部屋(ロッジ)でした。
アンテナを上げるにも、多少の障害物はあるものの、日本へ向けて好条件である事が分かりました。
逸る心を落ち着かせて、セッティングの段取りを考えていると、Valが島の生活に必要な事を説明するから、と誘いに来てくれました。
本当はセッティングをしたかったけれど、島の事も知っておきたかったので、彼の誘いに付いて行く事に致しました。
彼は島で唯一のスーパーを経営していて、それは私の泊まったロッジのすぐ裏にあります。
彼に、いろいろな事を説明してもらって大変参考になったものの、アンテナ自体の設営が大幅に遅れてしまって、すべての環境が整ったのは、11月30日の06:40Z頃でした。
HFのアンテナは、庭の隅に立っている木製の柱に10mのグラスファイバーポールをしばりつけ、その根本にAH-4(アンテナチューナー)を設置、エレメントは園芸用のアルミ線を40m伸張して使いました。
6mは、自作の5.5mのアルミマストにRadix社の4エレ八木を取り付け、どんぴしゃり日本向けに設営しました。



HF用のロングワイヤー垂直部
高さ10mあります



ICOM製のアンテナチューナー AH-4
カウンターポイズは、5mを8本と30mを1本



部屋から10mほど離れた場所に立てた50MHzの4エレ
ぴったり日本を向いている

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