外国資格に基づく場合、最長1年間のAmateur
Visitor Stationとして免許されます。
実際に運用が許可される範囲は、上記のFull,
Limited, Novice, Combinedの分類およびFix,
Mobileの分類に従って定められることになります。
D.まとめ
申請者が保有する資格に対応する最上級の区分で(例えば、日本の1アマ・2アマはFullクラスを、3アマはCombined,
4アマはLimited
となるのか?)申請するのが良いでしょう。
また、運用予定地を常置場所として移動局として申請するのが良いと思います。
固定局でも移動局でも出力などの制限は代わりがありません。
<電源>
PNGの電源は240Vで、電源プラグはハの字型をしたType
1と呼ばれるものが使用されています。
日本から2点の電源装置を持ち込む場合は、きちんとアースをとるようにしてください。
<無線装置>
7MHz帯は7300kHzまで許されています。
144MHz帯は144-148MHz,430MHz帯は430-450MHzで許可され、レピータは146-147MHzで運用されています。
従って、この範囲で運用をしたいと考える場合には、相応の機材を準備することをお勧めします。
電波形式によるバンド内の周波数の使用区分規制はありません。
2.必要書類
A.書類
免許申請書(TR105) |
APPLICATION FOR A RADIO COMMUNICATION LICENSE |
宣誓書(TR143) |
DECLARATION REGARDING SECRECY OF RADIO COMMUNICATION |
無線従事者資格を証明する書類 |
(a) Reciprocal
Agreementのある国での免許の写し相互運用協定などに基づくものではなく当該国でのオリジナルの免許の写し)
(b)日本のアマチュア無線の従事者免許証および無線局免許状の写し(英文証明を付す) |
パスポートの写し |
|
ビザの写し |
観光ビザは、入国時に発給される。 |
B.調べておくこと
運用予定地の住所および、緯度経度(Google
Earthなどで特定できるとよいと思います。測地系は、WGS84で書いておけばよいと思います。)
運用に使用する機材・アンテナも免許申請に際して記載する必要があります。従って、複数の無線機・アンテナを使用する場合には、すべてをリストアップしなければなりません。
C.
免許を得るまで
C-1.TR105,TR143を手に入れる。
TR105,TR143はInternet上で入手できます。もし、入手が困難な場合は、PANGTELに電話連絡し、ファクシミリあるいは電子メールで送ってもらうことになります。私の場合、TR105,TR143は電子メールで送ってもらいました。
なお、TR105には新版と旧版の2種類がでまわっていますが、どちらでも手続き上は差し支えないようです。なお、後述するRadio
Amateur Handbookにはさらに古いTR105が入っていますが、これが使えるかどうかは確認していません。
C-2.書類を準備する。
私の場合、無線従事者資格を証明する書類としては、米国FCCのAmateur
EXTRA級免許状の写しを使用しました。(日本の免許の英文証明書は一応用意しましたが、PNGでは米国とReciprocal
Agreementがあるためでしょうか、FCCのライセンスで問題なく受け入れました。)
パスポートは写真と署名のある面をコピーしました。私の場合、ビザは、事前に取得を必要とされるビジネスビザだったため、その写しを用意しました。
観光で入国する場合は、普通入国時にビザの発給を受けることになりますので、ビザの写しについてはどのようにすればよいかを、PANGTELと事前に打ち合わせてください。
C-3.提出する。
PANGTELと事前に書類を送付するのか、あるいは直接PANGTELに出頭して書類を提出するのかを打ち合わせておきます。
私の場合は、事前に書類を送付しましたが、結局免許状を受取るためにPANGTELを訪問した時には、打ち合わせていた担当者が不在でした。しかし、事情を説明し、あらかじめもう1式用意していた書類をその場で提出することで無事手続きができました。
C-3-1.提出・免許受領にあたっての交通が課題
なお、ポートモレスビーでタクシーは少なく、タクシーは必ずしも安全ではないといわれています。(JICAの情報などを参照ください。)
従って、移動には自分でレンタカーを借りて運転するか、ホテルなどを通して運転手つきレンタカーを依頼することになります。(運転手つきレンタカーは1時間70キナ〜100キナ程度)この代金が馬鹿になりません。当初、用務で市内を移動する際のこの交通費には頭をかかえました。(loloata
resortは市内の任意のポイントとの往復の移送を40キナでしてくれます。ただし、時間はあらかじめ設定しておく必要があります。)
PANGTELは以前(1997年まで)ダウンタウンの電話局のそばにあったそうですが、現在はホリディイン ポートモレスビーのそばに移っています。地元の人も、住所から場所がどこかは分からない場合が多いようですので、運転手つきレンタカーを借り上げて、あらかじめ行き先を伝えて電話でどのように行くかを確認しておくように依頼するのが望ましいと思います。
結局、私の場合、交通費のほうが免許手数料よりはるかに高くつきました。
C-3-2.運用資格とコールサインの決定
提出の際に、自分の希望するコールサインを申し出ることができます。
Novice Station |
サフィックスがNから始まる3文字 |
Limited Station |
サフィックスがZから始まる3文字 |
Combined Station |
サフィックスがKから始まる3文字 |
このほか3文字のサフィックスとしては、一文字目がB:ビーコン、C:クラブ、R:レピータが使われることになっています。
Full Stationには2文字あるいは、上記を除く3文字の文字列がサフィックスとして割り当てられます。
C-3-3.手数料を支払う。
書類を提出すると、Visitor
Stationの手数料として100キナ(約4500円)の支払いが求められます。
支払いは小切手あるいは現金ですることになっています。
キナへの両替は、日本国内ではできないと思います。従って、両替は、現地に入って空港通関前あるいは空港待合にある銀行窓口ですることになります。
C-3-4.免許状の交付
以上の手続きが済むと、免許状を作成してくれ、30分ほどで交付されます。
この際、一緒に渡される免許手数料の領収書は免許状とともに保管することになっていますのでなくさないようにします。免許の期間は、出国するまでとなっていますが、ビジネスビザのように数次の場合には、担当者の判断により1年以内でビザの有効期間の免許を交付してくれます。私の場合は1年間有効の免許が発給されました。
C-3-5.運用周波数・出力などの確認
資格ごとに定められた周波数および出力があります。
規則は、PNG独自に定めていますので、運用周波数・出力(Scheduleといいます)を免許状が交付されたその場で確認をしてください。また、移動運用が可能であることも、確認したほうがよいと思います。
なお、G1B(PSK31)はScheduleに入っていません。P29KNはPANGTELのSpectrum
Manager(Director)からG1B
PSK31で運用したい旨を申し出て、運用する許可を得ました。
この許可は、他の局から運用上の苦情が発生した場合は取り消される場合があるという条件で得られました。
特殊なモード以外にも、EMEなどより高出力の免許をえる必要がある場合もあろうかと思います。一般的ではない部分を含む運用を計画する方は、事前によくPANGTELと打ち合わせて許可が得られるか否かを調整しておく必要があります。
D.運用場所
ポートモレスビー市内のホテルとしては、空港の近くと、ダウンタウンの2地域にホテルが集まっています。
空港近くにあるホテルのうち、ゲートウエイホテル(今回私が宿泊した場所)は日系の旅行代理店が入っていて、何かと便利ですが、アンテナを設置できるような場所はありません。ダウンタウンにあるHoliday
Inn, Crown Plazaはベランダがありアンテナが設置できそうですが、交渉をしていないのでわかりません。
Ela Beach Hotelはダウンタウンの一角で海岸に近いところに立っています。南向きになりますのでJA向きではありませんが、候補になろうかと思います。
ポートモレスビーの市内のホテルの宿泊料は高額です。また市内の安全については注意が喚起されている状態ですので、セキユリティー上単独の外出は薦められていません。
このため、長期のビジネス客では今回運用場所となったloloata
island resortに宿泊し、用があるたびにポートモレスビーに行くというオプションがあります
今回運用をしましたloloata
Island Resortはポートモレスビーのダウンタウンから船と車で計30分弱のところにあります。空港からポートモレスビーのダウンタウンまで15分ほどですので、ダウンタウンへのアクセスは、loloataも空港も変わらない距離です。
loloata Islandは、ダイビングリゾートとして有名なところで、日本人ダイビングガイドがいることもあり、時期によっては日本人が20人以上もツアーでくるほどポピュラーなところです。(部屋数は20室程度しかありません。)宿泊料も3食込みで設定されており、食事代を含むと市内のホテルに比べて割安であるといえます。
このように、ダイビングリゾートとして知られている場所ですが、同時に各種研修や会議の場所としても活用されており、警察官の研修や企業の研修・会議、学校の合宿などにも利用されています。(総選挙に向けて、日本の政治家がこのリゾートで合宿打ち合わせをしたという情報もあります。確かに、秘密は保たれますね。)

ポートモレスビーダウンタウンから近いとはいえ、十分リゾートです
インターネット接続は、ダウンタウンにあるGateway
Hotelよりも良好でした。電話は携帯電話(GSM)が通じます。
PNGにはloloata以外にも、ダイビングリゾートとして開発された、アクセスの比較的良いデスティネーションが多数ありますので、IOTA
pedition (IOTA vacation?)
のデスティネーションとしても良いところがあるのではないでしょうか。

部屋とアンテナ
宿泊した部屋は、すぐ目の前が海になっている。満潮時は左手のマングローブは潮につかる。
アンテナは、ベランダに止めただけの全長3メートルほどの移動用バーチカル(SuperAntenna MP-1)

ワラビー
島のいたるところでワラビーが走り回っている。何頭いるのかは、全くわからないとのこと。宿泊棟付近の狭い範囲で20頭近くはいたと思う。
E.運用
電信では、CQ,呼び出し相手先コールサインの前にCTを打つことが標準の通信手順として定められています。しかし、実際には、通常の国際的な標準に準拠すればよいようです。
運用は、夕食前の時間と夕食後寝る前の時間が中心となったため、日本へのパスは18MHz、14MHz、10MHzとだんだんと周波数を下げながら運用することになりました。
夕食は、決まった時間にいっせいに集まってとることになっていましたので、夕食の時間は運用できませんでした。
途中、スコールが降り、アンテナの絶縁が悪くなったのかもしれませんが、マッチングが急にずれることが1度ありました。

クジャク
種類は分からないが、クジャクもいたるところを闊歩していた。ワラビーが人の姿をみると、逃げる体制になるのに、クジャクは気にせず歩き回っている。

カスカス
猿の仲間。夜行性で時々でてくる。私は、何度も名前を「クスクス」と間違え、他の宿泊客に食べるのかと笑われた。(「クスクス」は食べ物の名前。)ところが、PNGの地方によっては、カスカスを食料にしているとのこと。しゃれにならない。

黒くみえるのは桟橋の影ではありません。
小魚(鰯)の大群が、桟橋の下にいつもいます。シュノーケルをつけてもぐると、周りを鰯に取り囲まれます。

上に同じ
F.失敗談
F-1.免許制度が分からないと...
今回、PNGの免許制度については、申請書以外には全く情報がない状態でした。
申請書には、局の種別としてAmateur
Radio Station, Amateur Limited Station, Amateur Novice
Station, Mobile Station, Repeater Station, Beacon Station,
Combined Stationとしるされていました。
Combined
Stationのところには、下線が引かれ記入できる版だったこともあり、Fix
+ Mobileという意図でCombined
Stationのライセンスが欲しいとしるし、申請して当初P29KNNというコールサインが付与されました。
免許をいったんホテルに持ち帰り、Radio
Amateur Handbookを良く読んでいくと、実はCombined
Stationと云えば、それはLimited
+ Noviceということだったのだということが、わかり翌日あらためてPANGTELに電話して事情を話し、(Full)
Amateur Radio Station Mobileの免許を得て、コールサインもP29KNと当初の希望通りのものがアサインされました。
このメモは、今後、免許を得ようとする人が同じような誤解をして苦労することを避けるために、多少でもお役に立つことを願って書いています。
F-2.電源
持って行ったスイッチング電源は240Vに対応しているものでしたが、これを電源プラグ変換アダプターを介して接続し、筺体に触れたところ感電しました。ぬれた床にはだしで立っていた状態で筺体に触れたということも原因としてはあるのですが、筺体には120Vが出ていました。30年ほどまえTS311でアースが悪かったときに筺体にふれて感電(約50V)して以来の出来事だったので、かなりショックでしたが、基本にもどってちゃんと筺体はアースをする必要があります。
240Vとなりますと、感電した場合シャレでは済まされなくなります。PNGのRadio
Amateur HandbookにはCPRの手順が記されていて、アマチュア無線のオペレーターはCPRに習熟することが求められています。
F-3.コールサイン
PN29KNというコールサインの発給を受けましたが、このコールサインは、以前Keith
Newhard
という人が免許を受けていたようです。私はCWなどで名前をKeiとしていますが、Keith
Newhardさんと間違えられた方がいるようです。QSLの扱いで混乱が生じなければよいのですが。思わぬこともあるものです。
G.リスク情報
G-1.治安
PNGに行くというと、今回話をしたすべての人から「ポートモレスビーは世界でもっとも危険な町なのに、なぜ行くのだ」と聞かれたくらい、治安に関して悪名(?)が高い町です。
現地に暮らしている人やガイドの意見は、「午後4時あるいは5時くらいまでにホテルに戻る」、「少しでも怪しげなところにちかづかない」などに気をつければ大丈夫という点で一致していました。
噂の真偽は別として、オーストラリア人が来たことも無いのに、そのような噂を触れ回っていると云う人もいました。
考えてみれば、Los
AngelsやNYでも怪しいところに行くと危ない目にあいますが、その点ではポートモレスビーも同程度と云えるのかと思います。
安全な町と考えてはいけない、気を引き締めて過ごすことが必要な町のようです。
この点、loloata
island resortは沖にありますので、安全という点ではダウンタウンに比較してきわめて良好といえます。
ポートモレスビー以外の地方の町は比較的安全ということで、こちらに在住の人の意見は一致していました。
外国人が行くリゾートは、どこも基本的に安全と考えてよいものと思います。
G-2.健康
G-2-1.蚊に刺されないように、注意してください。
PNGはマラリアの汚染地域です。マラリアの発症患者の数は少数ですが、確実に発生しています。従って、訪問地・訪問期間を考慮し、予防内服をすることで軽減されるマラリアのリスクと、予防内服薬による副作用のリスクとをよく考えて、どのような準備をするかを判断してください。
ポートモレスビー付近は、奥地に比べてリスクは低いとはいえます。
また、デング熱の発生地域でもあります。デング熱が致命的な結果になる頻度は高くありませんが、デング出血熱になった場合には重症となります。なお、ポートモレスビーではデング熱の患者はマラリアに比べてあまり問題ないなっていないようです。
「虫除けスプレー」や、「長袖のシャツ」などを上手につかうことをお勧めします。
G-2-2.飲用水
PNGでは飲用水はミネラルウォーターあるいは煮沸水など信頼できる水を飲むことをお勧めします。
loloata island
resortの水道水は、脱塩装置を使い海水を淡水化していますが、飲用には適していません。
飲用水は別に頼むともらえます。また市内のホテルの水道は、いったん煮沸してから飲用するようにお勧めします。短期の滞在でしたら、飲用水は飲料水のボトルを購入されるのもよいでしょう。
G-2-3.医療機関
PNGでは、高度の医療機器を備えている病院はほとんどありません。例えば日本では、ほとんどの病院に備えられているX線コンピュータ断層撮影(CT)は、ポートモレスビーのPacific
International Hospitalに一台あるだけです。
また、この病院には他に血液透析装置もありますが、他の病院にはありません。
重症の場合は、治療のためにオーストラリアなどへの移送が必要となりますので、体調不良の場合には十分に注意し、早期の対応をこころがけてください。
H.PANGTELの連絡先
PANGTEL (Papua New Guinea Telecommunication Authority)
Section 24,
Allotments 19 & 20, Frangipani Street, Hohala NCD, Papua
New Guinea
TEL: (675) 303 3219
FAX: (675) 300 4829
|
郵送は
PANGTEL
Regulatory & External Affairs Department
Licensing Section
P.O.Box 82227, Boroko, NDC, Papua New
Guinea
|
H.参考資料
Post and Telecommunication Corporation Spectrum Management
Department: Radio Amateur Handbook Revised Edition 1993 (今回PANGTELで購入したもの)
PANGTEL WEBSITE
http://www.pangtel.gov.pg/
http://www.pangtel.gov.pg/license_forms/forms.htm
I.
謝辞
今回短期間の滞在で、無線の免許取得・運用に充てられる時間も限られているなかで、今回免許取得にあたって、JA8VE 齋藤邦夫OM,
PNGのNivot
S Changei氏、Kila
Gulo-Vuoi氏をはじめとする多くの皆様のご支援をいただき円滑に運用をすることができました。
また、多くの方から、POM滞在にあたってのアドバイスを頂き、それが積み重なってこのような形での運用をすることができました。
お力添えをくださいました皆様に御礼申し上げます。
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