This site devoted entirely to Amateur Radio


KB7OBU/KH2運用記


 



RTTYを運用中の津高さん(JA3VXH/KB7OBU)


■ 旅行前

社員旅行で、2007年2月16日から20日までグアム島に行くことになりました。
当然のことながら行程は会社指定!
残念ながら現地での自由時間は17日の午前中半日と、翌18日の1日しかありません。この時間内で会社の同僚とのイベントをやりくりしなければなりません。
さて、無線機を持っていくかどうかの思案が始まりました。
無線機、電源は以前にKH2に行ったときに実験済みで何の問題もありませんが、問題はアンテナです。
特に釣竿が問題です。
航空会社の安全規定が厳しくなっているので、持ち込み荷物にはできないし、かといってロッドケースに入れて持っていくのも一人では大変です。前回のKH2は家族全員でしたので、何の問題も無く持っていけたのですが、今回は全て一人でしなければならないので不可能です。
悩んでいる時期に別の用事(お店の本来の目的である魚釣りの道具を買いに)で釣り道具屋へ行ったとき、1400円で初心者用の竿+仕掛けセットを見つけました。
この竿がなんと仕舞い寸法が40cmで、伸ばしたら4.5m...これならカバンにも簡単に入れられます。即、購入!
これで、荷物に係る問題は解決。この件は出発時の空港でもっといい方法があったのですが、時すでに遅し!同僚が持っていくゴルフバッグに入れてもらえばよかった!

■ホテルにチェックイン

団体旅行なので、部屋指定で希望が叶う(叶わせる)のは困難です。
宿泊したホテルニッコーグアムは海に向かって左半分がJAに対しては開けています。
今回はどうか開けているほうで、なるべく上の階があたりますように....と願っていたら結果は希望通りの方向で、6階の部屋でした。(これが後でアンテナを張るのに気後れする事となります)

バルコニーからの眺め
この景色が筆者の気後れの原因となった

プールサイドから部屋方向を見ている
筆者の部屋は6階だが、アンテナは見えない


■仮設置

さて、時間ができた2日目の午前、リグを取り出してアンテナ(サガ電子製21MHzエンドフェッドアンテナ、エレメント長約7m)を張ってみました。
何と予想以上に竿がしなり、階下の窓のレベルまで垂れ下がったようなので、慌てて竿の先3本を抜いて、垂れ下がり対策を試みました。この件は最後の反省事項をご覧ください。
VSWRも2.0程度でしたのでとりあえずOKとしました。マニュアル式の小さなチューナーがあればベストかと思います。
幸い、雑音も少なくこれは行けそうとの感触を得ました。

アンテナの展張状況1



試しに......と....
21MHzをスイープしてみると数局のJAのQSOが聞こえます。
こうなるとCQを出す誘惑には勝てません。会社のミーティングまで20分ほど時間の余裕があったのでCQを出したところ、沢山の方からコールいただきました。
特にJA1WPX下市さんの信号が強力でした。
いつも呼び負けるはずです!このときは10局ほど交信いただき、QRTと相成りました。

アンテナの展張状況2


■インターネット

グアムのインターネット事情
グアム島のインターネット事情はそんなによくないように見えました。ホテルニッコーグアムは築年数が経過している関係か、客室にインターネットが配線されていませんでした。

■本格?運用
 

アンテナ自体の自重で垂れ下がりが大きいため、釣り竿の先の3本を抜く羽目になったが、充分な成果を出した。


SWRが.....
実は会社の旅行なので隣の部屋は同僚でした。
アンテナの端を引っ掛けても良いよ、とのことで、釣竿の先の垂れ下がり部分を斜め手前になる感じで水平に張り渡したのですが、なんとVSWRが3を越えていてパワーが出ません。
慌てて、元の垂れ下がり状態に戻しました。
エンドフェッドなのでエレメントの端は高インピーダンスになっていてその影響が顕著に出たのか、或いは建物の壁に近づいたのが悪かったのかよくわかりません。
いずれにしても、SWR計のみでのアンテナ調整は何度やっても経験と勘に頼ることになり厄介です。

■果たして....ドキドキ...!?

DXバケBBSにお知らせした周波数の少し下で、誰かがQSOされているようなので、少し上でCQを出し始めました。CQ...シ−−−ン CQ...シ−−−ン いやな予感が走ります。
電波が出ていない???コンディションが悪い???

■つっ強い!!!

数回目のCQに応答がありました。JQ2GYQ櫻井さん、続いてJF1OCQ三宅さん めちゃめちゃ強かったです!
その後、櫻井さんがパケットクラスターにアップしていただいたおかげで続々と呼んでいただけました。感激です!
もう、アンテナのたれ下がりなど気にならなくなりました。

■すごい!QSB!!

櫻井さん、三宅さんにもお知らせいただいたのですが、この日のコンディションはピークとボトムの差が非常に大きくかつ周期の長いQSBを感じました。
1エリアがまとまって呼んでいただいたと思ったら、突然6エリアがまとまって呼んでいただいたり、応答したのに返事が無かったり、大変驚きました。
この現象はSSNが最低のこのごろ、太平洋のDXバケ局をホームから呼んだ際にも感じられたことですが、想像以上にすごかったです。
もっとも、このおかげでパイルが分散されてコールがとりやすかったのは事実です。
160局程度QSOいただいた後はCQの空振りが続きましたのでRTTYの運用に移りました。

■またしてもRTTYのたこ踊り

オペレーションデスク
PCはログとRTTYの運用に使用した。


前回のKH2からの運用では準備不足からRTTYの運用時にLOGを手書きする羽目になりました。
今回はそれに懲りてZlogを導入して、MMTTYとZlogを同時に起動して運用の効率化を図るつもりで準備していたのですが、リハーサルをしなかった報いがここで発生してしまいました。
なんと、Zlogを起動した状態でMMTTYを起動しようとすると「COMポートが使えません」のエラーが出て起動不能になりました。
この対策をしている時間が惜しいので、思い切ってZlogの使用をあきらめて、急遽、ホテルのメモ紙を取ってきてそこにQSOいただいた方のコールサインを記入して急遽LOG代わりになりました。

という訳で、キーを打ったり、スプリットのダイアルを回す、ペンを持ってコールを取るたこ踊り状態となりました。何事も事前の確認が大切です。
起動しなかった原因は運用を終了してから気がつきました。Zlogのスタンバイ機能をCOM1ポートを使用してアクティブにしていたことでした。それまではWin98がOSでしたのでスタンバイ機能はパラレルポートを使用していましたが、今回、新しいPC+XPとしたため、COMポートを共有することになったことをすっかり忘れていました。
Zlogのスタンバイ機能をDisableすれば何の問題も無かったのです!!

■試した運用方法

今回は前回のKH2からの運用の経験と以前から思っていたことの数点を実践してみました。
 

オペレーションデスクの正面写真


余計なことは送信しない

RTTYのQSOで以前から無駄だと思っていたことを今回試しに簡略化してみました。
これはスプリットでQSOしているときのことです。

典型的な応答パターン
JAxABC JAxABC DE KB7OBU/KH2 599-599-599 JAxABC KKKKK

今回使用した応答パターン
JAxABC 599

典型的な応答パターンはどうもマクロに登録されているのか、良く聞きます(見かけます)
極端な話、自分に応答があり、自分のコールサインがちゃんとコピーされていてれば1回で十分(怪しいときは2回打ちましたが)、レポートはほとんどの場合599ですから1回で十分、キャリアが切れればスタンバイがわかるから’K'は打たない。
これで、1QSOにかかる時間の短縮が図れます。こちらの応答に対する返事も短くしていただければありがたかったのですが、標準マクロ?でKB7OBU/KH2 KB7OBU/KH2 DE JAxABC 599-599-599 KKKが非常に多かったです。
極端には’QSL 599’のみで良いことがあるのですが....自分のコールサイン(この場合はJAxABC)を繰り返されるとミスコピーかと身構えてしまいます。


■その他

ステルスアンテナとエレメント
ホテルでアンテナを上げる際に、いつも気にするのは「見栄え」です。
ホテルにわざわざことわるのも億劫ですし、エイヤーで上げることがほとんどです。
今回、痛感したのは釣竿の色です。KH2ではほとんどのホテルの壁は白です。ですから、無用なトラブルを避ける意味から釣竿を使うなら白系統の色が一番と感じました。今回は、真っ黒だったので少々気になりました。
以前、K9XWが神戸のホテルで同じような構成で運用していたら、ホテルから危険だから止めてくれと言われた事があるそうです。
21MHzのエンドフェドアンテナを使用するなら、最低でも実質的な長さが4.5mは必要です。
また、今回はアンテナエレメントはサガ電子のビニール被覆のワイアーを使用しましたが、自重で釣竿の垂れ下がりが大きく、先の数本を抜いて架設する羽目になりました。
もっと細くて軽いワイアーを使用するべきでした。この目的に沿うワイアーは日本橋のウエダ無線で販売しているドイツ製の良い物があり、現に持っていたのですが、準備期間の都合で使用することはできませんでした。

■QSLのこと

今回はコンディションから考えて、ほとんどのQSOが日本の皆さんにお相手いただくこととなると予測しました。
また、運用時間から考えても何百局とのQSOにもなりません。という訳で、QSLインフォをちょっと変えてみました。
「QSLはお送りいただかなくて結構です、こちらからはビューローにお送りしますのでお待ちください」とアナウンスしました。
数局のHL,KH2,UK9とのQSOは現地のビューローに直接送ることとします。
忙しいと言っている某国のQSL−BUROの負担を少しでも減らせるはずですし、私も費用の節約になります。


 

| Back |