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マーシャル便り


離島めぐり1

 新しい船AEMMAN(アエンマン)が来た次の週に、離島の無線機をチェックしに行かない?と言う話がありました。
何でも二つ返事で丁度いいのがマーシャル流ですので、「ああいいよ、行くよ」と言っておきましたら、週末近くなってAEMMANで今度の土曜日に出発するから準備するようにと言う話です。
何ヶ月もほおって置いて急に!と言うのもマーシャル流です。急いで準備にかかりました。

 要る物はなに?と言うと、毛布・水・上陸したときのテント・セレモニーの時にばらまくキャンデー等々と言います。
無線機やアンテナの点検の為の準備は誰も何も言いません。乗るのは500tの貨物船ですから、荷物の重量は気にする必要がありませんが、2週間の旅行となると結構準備が必要です。

 出航は土曜日というのであわてて準備をしましたら、結局日曜日になりました。
その気になって一生懸命やると肩すかしを食うのもマーシャル流です。
日曜日は夕方の5時頃出航というのでのんびり朝食を取って洗濯をしていましたら、昼の12時に一緒に行く同僚のトニー氏が車で迎えに来てしまいました。
まだ準備出来てないよーもう少し後にして!と13時に約束して洗濯もそこそこあわてて準備をしました。

 船のクルーは12名、彼らと同じ居住区の下段ベットに私、上段にトニー氏が割り当てられました。
ベットは寝るだけで個人用ロッカーが一つありますがソフトバッグを入れると何も入りません。
通路も狭く仕事用の工具等は、ハッチのついた船首の倉庫に入れることになりました。

クルーの寝室 このベッドの下段を割り当てられましたが、物をおく場所がないので困りました

船首のハッチ この下に収納スペースがあり工具や測定器はここに入れました。雨や揺れの激しいときの出し入れは無理です 

 出航が夕方5時頃と言われていましたが夜の10時になっても出航しません。
どうして?と聞くと、船の出航には運輸通信省の次官、即ちNo.2の出航命令書(Sailing Order)と言う書類が必要なのですが、これが出来ていない?作る担当の秘書嬢が作ってなかった様だ?致し方ないので、今運輸局の局長が作っていて、これから次官の自宅(飛行場のずっーと先にある)までサインをもらいに行く と言うのです。
これじゃ出航は明日になるのではと思っていましたら、案の定実際の出航は夜中の12時をすぎてしまいました。 

 船は貨物船ですが定員4名の客室が2つあって、一室には積み荷(荷役)の一切を取り仕切っているマジュロの「ペイレス」スーパーマーケットのスタッフが 船内(および離島での)売店を兼ねて入って居ました。
もう一室はVIP扱いの乗客でした。

貨物船の乗客 この国には離島用の客船はありません。物資を運ぶ貨物船が人も運びます

乗客の荷物 飛行機と違って重量的には心配ありません。沢山の荷物を持ち込みます

 クルー14人と我々+2名の船旅とばかり思っていましたら、マジュロからは何と大勢の乗客が乗り込んで来ました。
あとで聞いたら175人の乗客だったそうです。むろん行く先(の島)もまちまちですが、船内には船長の個室にある分を含めトイレは3つしかありません。
クルー用の台所兼食堂も一度に5人しか座れない狭さで、台所の調理器具の他日本製の湯沸かしポットが一つあるだけです。
食事時には「サッポロ一番」のインスタントラーメンの袋の上だけあけて「お湯を入れてくれ!」と言う人がわんさと食堂へきてしまいます。
この辺は全く想像していなかった事態で、同僚のトニーが何でもなくなるからその辺に置いておいてはだめだ、と言うのがやっと理解できました。

 だいたいマーシャルでは、どこでも(職場でも)ある物はみんなが使う、自宅にないから持っていって使う?決して盗むと言う概念ではないのです。
私は一種の共産主義もしくは社会主義だと言っていますが?

廊下の乗客 夜間や揺れが激しくなると乗客はどこにでも入り込んできて横になります

 そういう混雑の中でも、船長やクルーは乗客に対して、じゃけんな言い方は全くしません。
船長室の出口の床に人々が横になっていても、船長は慎重にまたいで出入りしています。
実に本当の民主主義です。(私なら)少しは考えろ!と言いたくなる所ですが、この国は、考えなければならない共通基盤(やしつけ等)と言う物が一切ないので、すばらしい国と言うかどうしようもないと言うか、人によって評価が2分します。
大人がそうですから子供もそうで、無邪気と言うのかどうしようもないガキども、と言うのかです。
小学校教員でがんばっている青年海外協力隊の隊員の苦労が分かります。

   (御用とお急ぎでない方は 離島めぐり2 へどうぞ!)

太平洋の夕焼け 自然は毎日違った色遣いを見せてくれます)

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