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マーシャル便り


8.先住民との戦い

 赴任して2ヶ月間のアパート暮らしの後、やっと入居できる家が決まり引っ越しをしました。
今度は海の近く(マジュロでは何処にいても海の近くですが)の一軒家です。
今年から住宅についてはマーシャル政府が提供してくれることになり、それだけでもすばらしいことで、JICAの言う要請主義のお手本みたいな国です。

 ですから、与えられた住まいに文句はなしです。
なにしろ、親元を離れてからずっと集合住宅にしか暮らしたことがない私にとっては、初めての一軒家です。
ただ、しばらく人が住んで居なかった家らしく、内装のペンキは塗り替えてありましたが、洗面所の排水が漏る、排水しない、トイレのタンクへの給水がきわめて遅い、台所の水道栓も漏る、冷蔵庫は中が冷えない、何よりも大切な水タンク(ウオーターキャッチメントと言われていますが)が、中が汚い、予備タンクが使えない、と色々問題が山積みです。
入居する前からわかっていたこともあったのですが、直るのを待っていたら何時になるかわからないので入居してしまったらと言う意見もあり住み着いた次第です。

(掃除中の台所 この冷蔵庫は冷凍食品を入れると溶ける冷蔵庫であわてました)

(掃除中の水タンク やっと来てくれた掃除の人たちですが、ほとんど無手勝流です。バケツはないか?ブラシはないか?さもありなんと準備しておいて正解でした)

Atollは何処でも同じ雨水に頼る方式ですが、ここマジュロは、雨水と市水(正確には政府水道水?ですが)の併用方式になっています。
月水金の朝夕各4Hだけ市水が供給されます。あとは各家庭の屋根に降る雨水を樋をとおしてウオーターキャッチメントに貯めます。では、市水は何処から水を得ているかと言うと飛行場に降った雨を滑走路の脇に川のように貯めたものと、更に飛行場の奥の地域で出る井戸水から給水をしています。

(予備の水タンク 中はカビ?藻?が厚く付いていて、においも強烈でした)

私が入居したこの家は、屋根も古くなっていて(汚くて)、雨水を取るのは無理との事で、水タンクを2基持っていて片方が空になるともう一つが使えるようになっています。
金曜日の夕方に帰ってきて週末にかけて何度も掃除したり洗濯したり風呂に入ったりすると、確かにタンク1個の時は一人住まいでも心配でした。 
入居して毎週末にせっせと掃除をしたり、修理に来ると言う日は出勤を遅らせて待ったり。なんだか赴任以来3ヶ月間週末は掃除ばかりの感じでした。

 台所の棚や引出しも綺麗にふいて物を入れだしたのですが、入れた覚えのないゴキブリや蟻が出てきます。そこでゴキブリホイホイやスプレーを買ってきて戦いの始まりです。

(かかったゴキブリ このトラップは米国製でマーシャル産ゴキブリにも有効でした)

しかし、こちらのゴキブリはどういう訳かあまり隅の方を通らないのです。部屋の真ん中を堂々と歩きます。従って、ゴキブリについては蠅たたきでバンとやっつける機会の方が遙かに多いのです。

(台所の水を飲んでいる?ゲジゲジ? ゲジゲジが水を飲んでいても不思議はないのですが、炊事の後の食事中に何処から出てくるのでしょう?)

秘密の通路 

 ある時台所のオーブンレンジ(上部は4個の電熱ヒーターになっています)をよいしょと引き出してみました。オーブンの下部の引出内部は当然汚いのですが、裏側には沢山の虫の死骸があり、かって掃除はされていたのか?と疑いたくなる汚さです。その上外見は綺麗な台所ボードの裏側は配管等の穴だらけなのです。これでは、外から中から出入り自由ではありませんか。

(オーブンレンジの裏側 配線・配管の隙間や穴が風通し良く空いています。これらを発砲スチロールとマスキングテープでせっせとふさぎました。)

物理的秘密通路ふさぎと平行してゴキブリキラーや蟻キラーのスプレーや薬剤をスーパー等で探してきました。

(スプレー各種 飛んでる昆虫用をゴキブリや蟻にかけてもほとんど影響がありませんが、ゴキブリ&蟻用と言うのをかけると、こんなに効いていいのか?と思うほど速効があります)

(本日の収穫2匹 日本のとほぼ同じのも居れば少し違うのも居ます。この2匹は蠅たたきで最後はしとめられたものですが、部屋の真ん中でひっくり返って死んでいる?寝ている?のが時々居ます。どうしてゴキブリはひっくり返って死ぬのか?と言うのが今の私の疑問です。もしかしてゴキブリって寝るときはひっくり返って寝ている?)

(蟻よけ対策 蜂蜜に寄ってくる蟻には困ります。かといって冷蔵庫に入れると堅くなって使いにくいので、水を張った器の真ん中に置きました。それでも水に入って死んでいるのが数匹居ます)

なんと言っても一番手こずったのは(いつも手こずるのは)蟻です。3種類くらいの蟻が出てくるのですが、最後まで手がかかったのが一番小さな体長1mmあるかないかの蟻でした。
何処から出てくるのかと例により30分くらい根気よく後をつけて、台所の壁のデイスポーザーのスイッチの隅間に消えるのを見届けてからスイッチをはがし中を掃除してスプレーをかけてシリコンコンパウンドでふさぎました。

もう一カ所は食卓テーブルです。
脚の部分にスプレーをかけたり粘着テープを巻いたりするのですが、ちっとも効果がありません。食事を始めると何処からか出てきて小さいくせに結構早く動きます。

「斎藤さん、いっそつきあって一緒に食事したら?」と言う友人の助言もあり、食卓テーブルの前半分に白い紙を置き真ん中に舐めると蟻が死んでしまうと言う薬を垂らした小さな器をおいて眺めていました。
見ているとなかなか近づいてくれません。そこで器の縁にほんの少し蜂蜜をつけ、薬剤にも少し蜂蜜を入れました。蟻にとって蜂蜜は大好きと見えて大騒ぎをして動き回っていました。ところが1週間もすると目立って蟻が少なくなって、3週間目にはとうとう私が食事をしても一匹も出てこなくなってしまいました。どうやらこのテーブルのどこかに代々住み着いていた蟻の様でした。食事のたびに出てきていたのに、全く居なくなると、今度はなんだか寂しく感じてしまいます。(人間はつくづく勝手な動物ですね)

大体、先住民との戦いにけりが付いたと思っていたら、引出に入れてあった日本製のインスタントスープの袋がやぶられていました。

(破られたインスタントスープの袋 しかも日本製のをやぶるとは、中身の味もわかるのかな?)

二十日ネズミかとも思ったのですが、小さな箱の下の方ですからやはりゴキブリではと思っていますが、これもいつかはケリをつけなくては?なりません。当面は、当方の負けですので、タッパーの大きいのを2〜3個買ってきて皆入れてしまいました。引出は空に近い状態です。

(シロアリのピラミッド 週末には必ず掃除をしているのに先週無かった山が出来ています)

(シロアリの排出口は? 近眼の私が遠くから見たくらいでは全くわかりません。ピラミットから垂直に丹念に探すと1mm以下の小さな穴が空いています)

シロアリとの戦いは、住んでいる2年間は小規模戦闘のミラ見合いで勘弁してもらいたいものです。
対処処置しかしてませんが、小さな穴を見つけては、スプレーを吹き込んで?(気休め!)シリコンを刷り込んでふさぎます。
こうすると不思議と同じかもしくは近くには二度と出てきません。

(ヤモリの子供 かわいいのですが困ったことにヤモリの大人と違っていつまで経っても家から出ていってくれません。動きも鈍く弱いのですがウンチをするので困りものです)

(水を飲んでいるヤモリの子供)

先住民との戦いはまだ続いています。クーラーを年中つけて部屋をギンギンに冷やすと言うのが、こういう戦いに一番楽な方法らしいと言う理解も最近少しわかってきました。でも、なんとか部屋や台所をいつも掃除して戦い抜こうと言うのが私に向いている戦闘方法かなと思って奮闘しています。

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