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マーシャル便り


13.葬式

 7月の末に海運局の方がフィリピンの病院で亡くなったと言う知らせが入りました。肺ガンだったそうです。
それからかれこれ20日ほど経ってマジュロでお葬式がありました。
私の通勤途中いつも前を通っている結構大きな家がそうでした。
葬式には職場のみんなが行くと言うので、私も同行しました。次官の方が初めての私に気を遣ってくれて、後に付いてくるようにと式場へも真っ先に通されました

(音楽隊 外にはこの国の音楽隊が来て葬儀の間中演奏をしていました。日本でもなじみのあるメロディーが沢山ありました)

この音楽隊は昨年出来たばかりだそうですが、練習を重ねだいぶん上手になったと言っていました。
バス2台で到着して白いイスを並べて指揮者も居ました。

(音楽隊のバス 乗ってきたバスに国旗が2つ付いています。どうして?と聞いたら、実はバスと楽器を台湾政府が寄贈してくれたのだそうです。なかなか良いドーネーションだと感心しました)

葬儀の始まりは聞いていた時間とは当然だいぶん違っていましたが、夕暮れと共に人が集まり式が始まりました。
大きな家の2階が式場になっていて、時間が来てみんな階段を上って2階へ上がります。
どういう訳か階段に一匹の犬がいて来た人にそれなりの挨拶?をしていました。少なくも私には軽く鼻先を触れて挨拶してくれました。

(葬儀の家 2階建ての大きな家です。2階が式場になっていました)

(棺と遺影 絨毯が敷かれた2階に、お花に囲まれた棺が置かれそのそばにご家族が座っていました)

(棺の前の少女 なくなられた方の一番上のお嬢さんだと思います。3人のお子さんが居ると聞いていましたが、あとの2人はまだ小さいお子さんでした)

(挨拶 運輸通信省の次官の挨拶で式が始まり、最後になくなられた方のお母さんから(かなりのご年輩と見受けました)ご挨拶がありました)

奥様や子供達にはむろんのことですが、両親にとって自分たちより息子が先に逝くと言うのは、古今東西こんな悲しいことはありません。
しかも亡くなられた方は、とても優秀な方で船のメカニックにも電気系にも秀でていて、省以外の人でも知っている人が沢山居ました。ただ、どう言う訳か給料はとても安かったんだと教えてくれた人もいました。
お酒とたばこが好きだったそうです。省の緊急連絡網にも(今もって) Fleet Electrician として自宅電話番号が載っています。

(参列者 参列者は全員部屋に入り座って話を聞き、終わると全員で讃美歌(だと思いますがマーシャル語の歌)を歌います)

歌が終わると一人づつ棺の前の箱の中へ1$を入れ、奥様やお子さん、ご両親とかるい握手をして退出します。
聖職者と言う様な人は全く介在しません。服装も襟のある服なら何でも良いとのこと格式張った所は皆無で、とても心のこもった式だと思いました。

(お清め 葬儀が終わると外で食べ物がふるまわれていました。この様子は日本でのお清めに似ているのかもしれません。ただ、ここはアルコールは出ていませんでした)

(子供達 外で遊んでいた子供達。大家族でしょうからおまえ達は外で遊んで居なさいと言われたのでしょうか、子供達が庭の木箱の上で絵を描いていました)

キリスト教の国とばかり思っていたのですが、少なくともこの方の葬儀は宗教色の全く感じられない儀式でした。
むしろこれが自然の姿なのかもしれません。

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