This site devoted entirely to Amateur Radio


BN0Fの台湾B級日記


台湾のイチゴ族

台湾では「イチゴ族」と呼ばれる世代が注目されている。
北京語で「草苺族(サオメイズー)」という。またの名は「7年級(7年 生)」。
名の由来は後述するが、おおむね1980年代生まれで、ティーンエイジャーから大学卒業くらいまでの世代をさしている。

有力ケーブルテレビ局「TVBS」がこの世代を対象に行った意識調査で、若者の6割が「僕は中国人ではなく、台湾人だ」と考えていることが分かった。
中国は陳水扁政権に「一つの中国」原則の受け入れを迫っているが、台湾の若年層の間で逆に「中国人意識」が薄まりつつある現実が浮き彫りになった。
台湾で「あなたは何人?」と問うことは微妙な政治問題と受け取られがちだが、若い世代に迷いは少ない。

中国大陸から政権ごと台湾に乗り込んできた中華民国。
その蒋介石総統や、蒋経国総統の時代の国民党政権時代に、学校教育を受けた30代から50代に同じ質問をしたら、結果はもうすこし違っていいはずだ。
李登輝氏が1988年に総統に就任し、台湾人意識を 少しずつ浸透させ始めた効果が、ようやく教育の上で現れてきたと見て取れる。

さて「7年級」。
話が複雑になるが、台湾が称する「中華民国」は、中国大陸でおきた1911年の辛亥革命を経て1912年1月1日に成立したところまで話がさかのぼる。
したがって1912年を「民国1年」と称している。
ちなみに成立以前は「民前1年」「民前2年」。「7年級」というのは、「民国70年代」、すなわち1981年から1990年生まれを指す。
2003年の現在、23歳から14歳までの世代だ。
蛇足だが「民国73年生まれ」なら「7年3班(7年3組)」、「民国78年生まれ」なら「7年8班(7年8組)」だ。
では「イチゴ族」とは?すなわち、見た目はきれいでみずみずしいが、人が触れるといたみやすく、日持ちもしない。戒厳令の厳しい時代を生きてきた台湾の大人達から見て、「かわいらしいけど根性がない」との印象を持っていることを表わしている。

台湾イチゴ族のメッカ「台北の原宿」と呼ばれる西門町界隈

ところがどうして、その「イチゴ族」たちも、ある種の行動力ではなかなかだ。
台湾行政院(内閣に相当)衛生署(厚生労働省)の調べでは、台湾の10代女性の出産率がアジアで最も高いことが明らかになった。
15歳から19歳までの台湾女性の、なんと1000人のうち13人、1.3%に出産経験があり、シンガポールの0.7%(1000人に7人)や日本の0.4%(1000人に4人)、韓国の0.3%(1000人に3人)などと比べても突出していたという。

中国やベトナムから10代の女性を配偶者として呼ぶ台湾男性が増えていることも一因だが、衛生署の調査によると台北市の場合、10代で子供を産んだ女性の23.4%までが未婚だった。
また、10代の男女16万人を対象に行った意識調査で、40%までが「未婚出産に賛成」と回答しており、「イチゴ族」の間で「性や出産」への意識がそ れ以前の世代と異なっている様子をうかがわせている。

調査結果を受けて、衛生署では、「愛情の価値を知らずに性行為に走るが、避妊知識にも乏しい」と分析し、若い未熟な世代に「子供が子供を産むことは避けよう」と呼びかけている。
意識変化とともに行動も変化する。ただ「イチゴ族」や「7年級」の世代は決して「自分は子供ではない」と思っていることだろう。
 

| Back |