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マーシャル便り


故障無線機

 ある日JOCV事務所から、離島隊員が使っていた無線機が故障して送られてきたので見て欲しいと言われ、事務所へ行ってみました。
未だ数年しか経っていないと言う事でしたが、塗りの無い金属部分はかなり厚く錆が出ています。年中吹く風は海を渡ってくる潮風ですし、電気のある離島でもクーラーなんかは使っていませんから、無線機の傷みもある程度は想像が出来ます。
事務所では道具もあまりないので、自宅へ運ぶ事にしました。無線機を動かすと中でカラカラと何か音がするのが気になりました。

無線機の上蓋を開けてみて音の正体が分かりました。なにやら沢山出てきます。しかも完全にミイラになっています。日本名「やもり」マーシャル語ではKorab:コラップです

音がしていたのは、ヤモリのミイラではありません。小さいビー玉くらいの大きさの白い玉が音の犯人です。どうやらヤモリの卵のようです。
上蓋を取って出てきたものを取り除いても、音はおさまりません、そこでユニットになっているPA部を開いてみました。

送信ユニットの中、なんとヤモリの卵が沢山あります。ざっと20個以上はあります。これらがみんなカラカラになっていて音を立てていたのです。でもあらかたは乾燥はしていても、なぜかくっついていて簡単には動かないので不思議です

無線機としては、受信はOK、送信が出来ないと言うことでしたが、どうもRF系は生きているようです。
どこかマイクからSSB発生系に至るAudio系のどこかの不具合と思われました。
一応清掃してそれらしき各部品も目視と物理的点検をしてみましたが、良く判りません。原因が分かってもジャンク箱まで持ってきていませんので交換する部品一つありません。
そこで、故障診断を書いて無線機に添付し日本のメーカーへ送り返すようお願いしました。

無線機から出てきたもろもろ ヤモリが一度にどのくらい卵を産むかとマーシャル人に聞いてみましたら20−30個は生むんじゃない と言う話でしたがあんな小さな体に20−30個も卵が入っているのでしょうか?

それにしても、なぜヤモリが無線機の中に卵を産み付けたか?理由はやっぱり暖かいからと言う事でしょうか。
でもなぜみんなミイラになったのでしょう?
私の勝手な想像ですが、いつもの定時連絡くらいでは、ヤモリの好む温度だったのでしょうけど、その後隊員が結構おしゃべりして長時間使ったため、PA部の温度も上がり卵が皆ゆで卵になってしまった! と言うのはどうでしょう。
それにしても親と思われるヤモリまでミイラになってしまった理由はいまもって不明です。

マーシャルは暑い所と思われがちですが、雨が降ったり曇り空ですと、我々でも少し肌寒い位に感じる事がありますから、現地の人や動物たちはもっと寒い!と感じるのではないでしょうか。
私も、昔々冬の寒い実験室で測定器に火を入れてその上に座って暖房代わりにしていたことを、はからずも思い出しました。

ダミーロード  昔は日本でもこういうダミーロードは結構流行していました。無線機の出力が出ているかどうかを見るにはとても有効です。この国に来て何も無いので作って勤務先に置いておきましたが、直ぐ誰かが持って行ってしまったらしく、これは2代目です。初代は、多分どこかで電気スタンドとして使われているのでしょう)

日本へ送り返した無線機については、その後修理するより新しく買った方が安いですと言う返事が来たそうです。中から出てきたヤモリのミイラの写真も付けて送り返したので、修理する意欲をなくしたのかもしれません。

黄色い花 無線機から出てきたわけではありません

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