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マーシャル便り


6.船釣り

 マジュロに来たからには、一度は船で大物を釣ってみたいと思っていましたが、その機会が思いの外早くやって来ました。
 結婚したばかりというZL(ニュージーランド)人のご主人Darryl氏と奥様のJulieさんがやっているダイビングショップの船を数人で貸し切って、約80NM離れた所にあるミリ(Mili)島へダイビングに行くと言うのです。
人数が多い方が安くなるので、ダイビングをしない私も「釣りは出来るよ」と誘われて、二つ返事で参加する事にしました。

(奥様のJulie Sniderさん 米国人ですが、ドイツ系?と聞いたら「そうです」とのこと、昔映画女優でロミー・シュナイダーって居たんだけど知っている?と聞いたんですが、当然知りませんでした)

(ご主人のDarryl Hodson氏 ZLのハズバンドは働き者と聞いていましたが、彼も船を操縦しダイビングの引率をしおまけに料理まで手伝っていました)

 マジュロを金曜日の夜出発し、岩礁の北側に一カ所ある大型船が通るチャネルを通り南へ向かうのですが、マジュロ岩礁も結構大きくラグーン(内海)を出るのに約30分、回り込んで南へ向かってマジュロの灯火が見えなくなるのに更に30分以上かかりました。船は9人までは寝られると言う結構大きな船でしたが、往きはスコールを避けながら航行したせいか結構揺れて船には比較的強い私も横になっていないと酔いそうでした。

(ミリの小島 大きなAtollで沢山の島々があります。しかもほとんどが無人島で、ダイバーには天国です)

 MiliMajuroよりも遙かに大きな岩礁で大小の島が沢山あります。昔旧日本軍が居た跡も沢山残っていると聞きましたが、今回はダイビング目的なので上陸はなしの船上2泊です。

(ダイビングへ出発 Julieさんが引率です)

(釣り中のVE)

 船をダイビングスポットに止めて、みんなが出かけたあと、船上で優雅に釣り糸を垂れてと言いたいところですが、彼らは40分くらいで帰ってきますし、時に浮上する場所へ移動して待っていたりと結構(釣りには)落ち着きません。 大体、釣りのスポットとダイビングスポットが一致するには無理がありそうです。30m位の水深でも底がよーくみえます。

(つり上げた大物? ラグーンフイシュと呼ばれる魚は私の感じではどうも餌取り名人が多くて面白くありません。そこで針を小さくしてやっとつり上げたらやっぱり小さかった)

 ところが、静かで澄み切った海でこれじゃ魚は居ないのではと思って居ると突然「がつん!」と言う衝撃があって糸からばっさりと食いちぎってゆくのがいます。この何者か用には、次回は針金に針をつけた物を用意するつもりです。

 (トローリング中のVE 次のダイビングスポットへ移動する間の数十分はトローリングをします。4本くらいの竿を立てて数十メートル糸を繰り出します)   

 次のダイビングスポットへの30分から1Hの移動時間にトローリングをしながら行くのですが、外洋を走るとこれで結構魚がかかるのです。大きい疑似餌には大きい魚が、小さい疑似餌には小さいのがかかります。魚がかかったとなると若干は船の速度を落としますが3〜4人がかりで魚と格闘です。特に上げる瞬間は大変です。針(疑似餌)は完全に飲み込んではいますが、上げた後、大暴れしますので(むこうはホントの死に物狂いであばれます)棍棒で殴ったりナイフでとどめを刺したり、なんだか私のこれまでの「釣り」とは少し違う感じがしました。

編者注:
このマグロは、本マグロの幼魚でして日本では通称「メジ」と呼ばれております。
一般に夏、マグロが痩せている時期に、このメジは珍重され寿司屋のネタ箱のなかで、旬を迎えた青物に負けない食味を提供してくれます。
メジが成長して、あの本マグロになるのですが、下の写真のように何故がこの頃の身はイサキなどと同じ様な色をしております。

(つり上げたマグロ こんなマグロが釣れるのですから・・・おいしそう! Ningen wa doumou na doubutsu desu!

(血抜き中のマグロ 船上で食べるために血抜きをしているところ)

Julieさんが作ってくれた鮨 マグロはいくらでもあります)

 釣れる魚は、マグロだけではありませんが名前を聞いてもすぐわすれてしまいます。普段は胸のポケットに入れてあるメモとボールペンが船上では使えないのです。理由は、シャツに胸ポケットがない、すぐ落っこちて飛んでしまう等々でしょうか。次回の機会にはなにか工夫して書き留めておきます。

(つり上げた魚 時に返り血をあびてしまいます。この時私の半ズボンに付いた血は未だに残っています)

編者注:
これはバラクーダと呼ばれる魚で、編者が好む釣りの形の「ルアー」釣りの対象魚であります。
写真では見えにくいですが、大きなのこぎり歯を備えており、気を付けないと釣り人がケガをする事があります。
余談ですが、編者が最も好きなルアーのトップウォーター(水に浮く疑似餌)の名称が、このバラクーダと云うもので、数々の素晴らしい思いでを作ってくれたルアーです。
参考までに、フローティング(浮き気味)のルアーを、メーカーのHPからご紹介します(Form Rapala Japan)

 

(食えない魚 本当に食えないのかどうか定かではないのですが、ご夫妻ともダイビングへ出かけている間、留守番の若者(多分ZL? なぜなら英語が全然わからない!)が、これはだめだとか何とか言ってぽいと海へ捨ててしまいます。一見キンキみたいでおいしそうでしたけど?)

編者注:
編者が見るところ、赤ムツのように見えます。
深海魚であるために、つり上げられた時は、水圧の変化で浮き袋が口から飛び出していたり、目玉が飛び出したりしているので、見た目はグロテスクになっている場合が多いのですが、味は非常に日本人好みで、刺身はもちろん、煮付けても、焼いても大変に美味であります。
編者が2002年にマーシャルの釣り大会を見た時に、底もの釣りのカゴの中に、大型のハタ、ムツが入っていたのを強烈に覚えております。
日本なら大漁で大喜びするところですが、外国人の皆さんは、どうしてもバショウカジキや大型のマグロに目が行ってしまって、10kg近い底ものでも見劣りしてしまうようでした。

 

 私は、ダイビングの道具は何もないので、代わりに釣り竿を2本とスーパーで買ってきた冷凍イカを事前に調理して餌として持って行ったのですが、どうも結果としてこの辺の魚は、餌は何でもいい?えさの味を云々はしない?様な気がします。味にこだわるのはどうも日本人及び日本の魚だけなのでしょうか?生餌は手がくさくなるし扱いが面倒です。疑似餌をダイナミックに動かした方が魚にとってはおいしそう?に見える様です。

(サメに横取りされた魚 私がつり上げた会心の(おいしそうな)魚でした。引きもかなり強くかなりの大きさとわかりましたので勢い込んで引き上げていましたら、途中で急に軽くなってしまい、逃げられたにしてはおかしいなと思いつつ上げた結果がこうでした)

 トローリングは、竿を押さえている必要もなく魚が食いついたときだけ、人が巻き上げればいいのですが、疲れるので交代で糸を巻き取ります。魚を上げるときは、素人では危険なので船の人たちがぶんなぐって殺してから、収穫あり!と乗客が喜ぶ仕掛けです。極端に言うと人間が釣るのではなく船が釣る?のがトローリングです。二日間で数匹のイエローフインツナが釣れましたので、トロの刺身、ステーキ、鮨とマグロ三昧でした。

(つり上げたマグロと記念撮影 この女性は任期を終えて既に帰国されましたが、英語もダイビングもとても上手な方でした)

 

(船の無線機 やはり日本製の見慣れた無線機でした。オートアンテナチューナーも付いていました)

 

 帰りは日曜日の午後になり、途中ずっとトローリングを1本だけ流しながらマジュロまで帰ってきましたが、もう夕方になって、がくんと竿に衝撃がありかなりの大物がかかりました。皆総出でかれこれ30分くらいかけてあげたのがカジキの大物でした。カジキマグロの現物を見たのは初めてでしたが、まさに海の怪獣と言う感じです。

(カジキの頭 こんなのに海の中で出会ったらどうなるのでしょう?)

 帰路は、この大物1匹だけでしたが、大きいのはホテルで買い取ってくれると言うのでこのホテルの岸壁へ直接船をつけることにしました。何ポンドあるかみんなで一人1ドルづつ出して、1ポンドのプラスマイナスは正解としようと、各人が何ポンドあるかの予測を出しました。私は120ポンドとはじいたのですが、ホテルでの計量結果は、ナント260ポンドでした。誰一人としてそんなに重いとは思わなかった様で、結局この賭は流れてしまいました。ちなみにホテルでは、1ポンド1$とのこと、260$の漁獲売り上げがあったわけです。

(カジキの計量 真っ暗な中での撮影で、デジカメのディスプレイも真っ黒な中で撮影した貴重な1枚です)

二日間の洋上生活で陸に上がってしばらくはまだ(頭の中が)揺れていました。

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