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BN0Fの台湾B級日記


南国台湾で極寒の冬

台北の冬は“寒い”。九州より沖縄より南国のはずの台湾でいったいどうしてこうも寒いのか。などと書くと「何と大袈裟な」という声が聞こえてきそうだ。
気温でいえば1月で最低10度を切る日もある。ただ日中の最高気温は20度を上まわる日もあり、「寒い」といってはバチが当るだろうか。
しかし盆地の台北では冬に雨が多い。湿度も連日70%を上回る。10度前後で雨が降り続くと、これはそうとう体感温度としては冷え込む感じがする。

南国台湾だが、しかし、実際に寒いものは寒い。
ある日、夕方になりトップリ日が暮れた。シトシト雨も降りだした。だがタクシーに乗ると、冷房をガンガンかけているではないか。
冷房を止めて下さい、とお願いすると、運ちゃんは即刻却下。「フロントガラスの曇り取りに必要」というのだが、寒くて震えるお客が風邪を引いたらどうするのだ。
途中でタクシーをあきらめ、バスに乗り換えた。後部座席に陣取ってやれやれと思ったのもつかの間。グオーと大きな音で風気口から吹き付けてくる空気がやたらと冷たい。
舌打ちしながら、ほかの乗客はと見渡すと、これが不思議なことに比較的薄着で平気な顔だ。台北ではあたりまえなのか、これでは運転手に文句をつけても勝ち目はなさそう。

台北の冬は結構、厚着が必要です。ご旅行なさるかたはご注意!日によっては小春日和の日もありますが、11月から2月にかけては意外と冷え込みます。冷房激しいバスのなかで震えながら撮影


ほうほうの体でオフィスに帰ると、ここにも地獄が待っている。
1月だというのにまだ冷房だ。どうなっているのか聞くと、「全館空調の一環で特定の部屋だけ冷房を止めることはできません」とつれない返事が帰ってくる。ならば当然暖房で空調すればいいではないか、と反論すると、「このビルに暖房設備はありません」ときた。

家電量販店に行っても、石油ガスファンヒーターなどという重宝なものはない。
簡易型の電気温熱機のようなものはちらほらあるが、それも部屋全体を暖められる能力はありそうもない。しかも追い討ちをかけるように「オフィスでの暖房器具使用は禁止です」といわれた。
人権無視に環境無視の「冬に冷房」の仕打ちに天を仰ぎたい気持ちになった。

台湾の友人たちに聞いてまわった質問と回答は以下の通り。(カッコ内はそれでも頭をひねる筆者の独り言)

質問)なぜ台北では所かまわず冬でも冷房するのですか?

回答)台北の冬は雨が多い。非常に湿度が高い。寒いけどカビもすごい。冷房で湿気を取らないと、部屋も車もカビだらけだ。人間だって寒い上に湿気がすごいと風邪を引きやすいぞ。(ならば暖房しながら乾燥するエアコンを使えばいいじゃないか。車にだって付いているはずだ!)

質問)台北の人たちは冷房を寒いと思わないのですか ?

回答)もう慣れっこ。気持ちいいじゃないか。タクシーやホテルなどで空調がないとこはサービスしてない。冷房してないとジメジメしてイヤだ。空調していると空気がきれいだ。(ホントか?)寒ければ上着を着ればいいじゃないか。(エネルギー浪費をなんと心得る!)

質問)寒いと感じる人に暖房の機会を与えてください。

回答)自分の家で暖房すればいいじゃないか。(1日の大半をオフィスで過ごしているのに…)オフィスの使用電力に容量限界がある。(だったら電気で冷房しないでくれ!)ガスやオイルを燃焼させる類のものは厳しく処罰。(オフィスでたき火する訳じゃないぞ!)

南国台湾では冬でも暖房なしが常識、ということだが、わかりました。百歩譲って暖房なしでもがんばりましょう。でも… 「お願いですから冬に冷房だけはやめてください!」
 

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